雷鳴が轟き、想いが罪人を生む……『崩壊3rd』のメインストーリー第一部、16~17章を読み返す記事!
16章「嵐の前」
天命・ヨルムンガンドから逃れたキアナは長空市に転移していた。それはかつて第三次崩壊が起こった地_そして、芽衣とキアナが出会った地だ。
★TIPS:第三次崩壊
2014年に長空(ちょうくう)市で起きた崩壊エネルギー爆発は、体内にコンケストジェムを持つ芽衣を第三律者に覚醒させた。
崩壊の意思に乗っ取られることを拒んだ芽衣は死を選ぼうとするも、キアナがそれを救い出した。そして彼女は自身の力を制御するため、聖フレイヤに渡ることとなる。
キアナの反応を追って長空市に赴いた芽衣は、そこで空(くう)という少女と邂逅する。彼女は第三次崩壊の被災者であり、「先生」と呼ばれる人物の庇護下で似た境遇の子供たちと過ごしているのだという。
そんな「先生」の正体は、天穹市でキアナと戦ったヨルムンガンドの幹部・ワタリガラスだった。
第二次崩壊で家族を失った彼女は、崩壊災害に晒された孤児たちのために「巣」を作っていたのだ。
★TIPS:ワタリガラス
本名ナターシャ・キオラ。シベリアで第二次崩壊に遭遇するも、セシリアが最期に放った「黒淵白花」の花弁に触れて崩壊エネルギー汚染から救われた。
間もなく灰蛇に引き取られ、訓練を受けたのち傭兵として生計を立てるようになる。
★TIPS:不完全な聖痕
不完全に聖痕を発現してしまった空たちは、高い崩壊エネルギー耐性を得る代わりに崩壊エネルギーのない場所では生きられなくなってしまった。
彼女らが元通りに生きるためには、ジャッカルから提供される薬剤で聖痕を完全活性化させていくしかない。
傭兵活動の中で資金を貯めたワタリガラスは、荒れ果てた長空市から子供たちを逃がすため太平洋の孤島を購入した。しかし「空の律者」の引き起こした天変地異が島を水没させてしまう。
そして3つのコアを体内に抱えるキアナは、天穹市上空に解き放たれた崩壊エネルギーを吸収し、さらにフカという支えを失って今にも爆発しそうになっている……。
彼女を殺すべく長空市に戻ったワタリガラスだったが、キアナを取り戻そうとする芽衣の強い覚悟を認めて手を引くことに。
そして芽衣はキアナを見つけ出すが、彼女に残された時間はもはや多くなかった……。
17章「雷が空を破る時」
①蛇との契約
オットーにとってケビンと対立するのは望ましいことではなかったし、ケビンにとっても天命に「聖痕計画」を邪魔されるのは本意ではなかった。2人は停戦協定を結び、「虚空万象」と「千界一乗のビーコン」を交換する。
★TIPS:千界一乗のビーコン
千界一乗が全力を解放するために必要なパーツ。これを用いることで、千界一乗は「虚数の樹」への門を開くことができるようになる。
1500年前のやり取りでビーコンはケビンと共に量子の海へと沈んでいた。
長空市の水面は異常上昇し、崩壊獣の出現頻度も日に日に増加している。
第三次崩壊で形成された空間の「特異点」が、3年経った今でもなお崩壊エネルギーを供給し続けているのだ。そしてそれは、間もなく爆発臨界点に到達する_。
キアナは万が一の場合、律者の力でそれを吸収するつもりでいた。彼女の崩壊エネルギー侵食は目に見えて明らかで、味覚や痛覚も既にほとんど失われている。だというのに……
気丈に振る舞うキアナの姿は、かえって芽衣の心を強く締め付けた。
②虚数の樹
ネゲントロピーの技術力をもってしても、キアナを救う手立ては見つからなかった。苦しむ芽衣の前に現れたケビンは、たった一つだけ事態を変えられる術があると告げる。
それは、芽衣が完全な雷の律者になることだ。
第三次崩壊の際に、芽衣の体内には虚数と繋がる扉が築かれた。コンケストジェムが奪われた今も、それは残り続けている。
長空市に満ちる第三次崩壊の残留エネルギーをその扉に吸収し、新たな雷の律者コアを形成すれば、キアナの中にあるコンケストジェムも自然消滅する。彼女の負担を大きく減らすことができるのだ。
そして芽衣がヨルムンガンドに渡り、今後現れる律者を撃破・封印していけばキアナもこれ以上戦わずに済むようになる……。
動揺する芽衣の眼前で、一本の光柱が天を突く。崩壊エネルギーが充溢する長空市を舞台に、オットーが「虚数の樹」への門を開いたのだ!
門から量子の影が次々と溢れ出すなか、キアナは自身のもとに駆けつけた「空の律者」の眷属・ベナレスと共に飛び立っていく。
だがそんなベナレスに対し、虚数から生まれし怪物・ニヒリズムが剣を突き立てる!
ニヒリズムを命からがら倒す芽衣だったが、その直後に敵は再生。背後の攻撃から芽衣を庇い、ベナレスの体は引き裂かれてしまう……。
③雷神の覚醒
『久しぶりだ、泣き虫』
芽衣の中に声が響く。それはもう一人の自分_心の奥底に眠る、律者人格の声だ。
律者は語る。芽衣がこの扉を開けば、一歩踏み出せば……もはや後戻りはできなくなると。
仲間を裏切り、帰る場所を失い、彼女の隣でその手を握ることはできなくなる。それでも芽衣は、この道を選ぶのかと。
しかし、芽衣の覚悟はとうに決まっていた。皆はきっと彼女の力になってくれる……なら、自分は自分のすべきことをするまでだ。
『……行け』
『その手で私を葬れ。私の怒りを、悲しみを、消えた私の存在を、一人で前に進む力にするのだ』
瞬間。長空市に満ちていた崩壊エネルギーは芽衣の体内に凝結し、新たな律者コアを形作る_
そして_真の「雷の律者」が、ここに誕生した。
律者人格と融合し、“羽化”した芽衣はその圧倒的な力でニヒリズムを討滅。ベナレスの骸を雷の獣・倶利伽羅(くりから)として新生させ、量子の影を一掃するのだった。
④罪人の挽歌
目覚めたキアナは、芽衣がヨルムンガンドに渡ることを知る。芽衣は彼女を光に戻すためなら、いくらでも闇に堕ちる覚悟ができていた……。
しかしキアナはそれを受け入れられない。絶対に行かせない……行かせてはならない!互いを想うが故に、彼女たちの意見は交わらない。かつて共に過ごした千羽学園の屋上で、2人はぶつかり合うこととなる。
「世界を救いたいなんて……そんなの分かってる」
「でも、どう抑えればいいっていうの!?」
「私にとって、この世界なんかよりも!」
「キアナちゃんの方が……ずっと大事よ!!」
(あの日、あなたは私に手を差し伸べてくれた。その手を掴んだ時から、私の運命は変わった)
(あなたは……私の人生の中で一番大事な人)
「もし、あなたを助けることが罪なら、その罪は私が背負う」
「さようなら、キアナちゃん」
そして芽衣は、赤の稲妻となってキアナの前から消えゆくのだった。