
そのアイドルはアークを照らし……そして、永遠となる。
サイドストーリー「PRETTY STAR」を読み返そうって記事!
①咲いた花

特務隊を退いたオスワルドは、エリシオンの訓練顧問となっていた。フリージアのために辞めたのだ。
ゴッデスを地上に置き去りにしてから、オスワルドは罪悪感と自己嫌悪に苦しめられた。何度も自死が過ぎったが、それを押しとどめたのは、彼を案じるフリージアの存在だった。
フリージアはすっかり大人の女性に成長していた。そして彼女は……オスワルドの静止も聞かず、ニケの人権運動に参加していた。
中央政府が地上奪還戦の失敗をニケに押し付けたために、アークでニケフォビアの動きは強まっている。フリージアはニケがもう一度、人々の憧れとなれるようにしたかったのだ。
だがニケフォビアとの衝突により、フリージアは首の神経を切断されてしまう……。
②エンターテイメント

テトララインの社長・マスタングは大金に物を言わせて、ニケの製造技術を入手していた。
彼にはニケを使い、エンターテインメント事業を独占する計画があったのだ。そして見目の良いニケを集め、芸能人としてデビューさせる予定だったのだが……中央政府が地上奪還戦の失敗をニケに押しつけたせいで、その計画は頓挫した。
そうして苛立つマスタングを宥めるのが、理事を務めるハンソンの役目であった。

そんなハンソンに、ミセス・ミスはフリージアを紹介した。ニケの人権運動のリーダーがニケとして蘇り、ニケのために戦う……その筋書きにドラマ性を感じたからだ。
かくしてフリージアはテトララインのもと、ニケとして新生した。幸いなことに、記憶の欠落も見られない。
だが気がかりなのは、その戦闘性能がリリーバイスに匹敵するという点であった。オスワルドは彼女が中央政府のプロパガンダに利用されるのを恐れ、かつての部下にそのデータを偽装してもらうことにした。
③プリティーの誕生
ハンソンとミセス・ミスはフリージアに芸能人デビューを促した。
「ニケの人権を守ろうとする人が、堂々と声を上げられるようにしたい」というハンソンの願いは、フリージアにとっても望ましいものだった。
オスワルドはこの流れが止められないと察し、ハンソンにマネージャーを任せることにした。

……アニスは身寄りのない孤児であり、「貧困層の特別入学枠」という形で支援金をもらいながら学校に通っていた。
アニスは寂しさから人々と積極的に関わるようにしていたが、そのせいで、委員長の一派から目の仇にされてしまう。
彼女の父は学校に大金を出しており、アニスは同級生だけでなく教師からも徹底的に無視されるようになる。

陰湿ないじめに耐え続け、さらに半年が経ち……アニスが自死を考えたとき、遠くから歌が聞こえてきた。
それはアニスの胸に勇気を、自信を湧き上がらせ、熱を持たせた。アニスは生きねばならないと感じた。

かくしてフリージア……こと「プリティー」のデビューライブは、大成功で幕を閉じるのだった。
④アークの星

さらに時が流れた。
史上初の芸能人ニケ・プリティーのデビュー曲「PRETTY STAR」は、アークに旋風を巻き起こした。
プリティーは大スターとなり、アーク内ではニケの人権を擁護しようとする動きが高まっていた。
それに対抗するようにニケフォビアもより過激になっていったが、マスタングは「ニケの人権支持」を打ち出し、テトララインの名を売ることにした。
地上奪還戦失敗の責任をニケに押し付けたのは中央政府だが、マスタングはミセス・ミスが育てていたニケたちを中央政府の高官たちに贈ることで彼らの反感を買わぬようにしていた。
プリティーは人権団体の広報大使となり、テトララインの株価も急上昇していった。
ゴッデスのように皆に希望を与えられる存在になりたいと、フリージアはひたすら邁進していた。

アニスは、クラスメイトたちが自分を嫌っているわけではないと知った。ただ彼らは、委員長の恐怖に逆らえないのだ。
クラスメイトらは密かに、プリティーのライブチケットをアニスのために用意してくれた。
彼らは様々な場面で、できる範囲でアニスを助けた。だからアニスは、寂しくはなかった。
⑤自慢の娘

さらに時が流れた。
フリージアは芸能界に擦れ切っていた。パフォーマンスのために泣いてみせるようにもなっていた。
今やプリティーはニケの人権のシンボルだ。その影響力は大きく、何をするにも視線がついてくる。だが、だからこそ止まるわけにはいかない……。
それに、オスワルドの「自慢の娘」でいるためにも、フリージアは諦められなかった。
そんな矢先、マスタングがプリティーを中央政府のマスコットとして売ることで中央政府でのポジションを手に入れようと画策する。彼はアークの全てを掌握すべく、政界を狙っていたのだ。
フリージアは反発するも、マスタングは強制的な引退とデマの流布をチラつかせて脅迫。彼女を従順にするため、彼女の精神的支柱となっているオスワルドを狙うことにした。
彼は、オスワルドが「ゴッデス部隊を地上に置き去りにした」という情報を掴んでいた。そして、フリージアにそれを聞かせることで二人の関係に亀裂を入れてみせたのだ。
⑥星たちの邂逅
フリージアはオスワルドに失望し、元来の動機を失ってしまった。
彼女は少しずつ荒れていき、中央政府の仕事も引き受けるようになった。テトララインの用意した豪邸に住み、オスワルドのもとには帰らなくなった。
そんなある日、プリティーはニケフォビアによる襲撃を受けた。
ニケと人々の死骸が転がるさまを見て……フリージアは長期休暇に入った。
彼女が「完璧でなくなった」から、ニケは差別されるようになったのだ。この役目は重すぎる。彼女は完璧で在り続けねばならず、それも終わりが見えない……。

あるときフリージアは、自分のファンであるという少女……アニスと出会った。
委員長により、恥をかかせるため行事のクラス代表として指名されたアニスだったが、プリティーに与えられた希望があった。支えてくれる友人もいた。

フリージアは彼女と話して、「プリティー」はアニスにとって永遠のアイドルなのだと知った。
だが永遠にアイドルでいることなど、できはしないのだ……。
⑦偶像
ミセス・ミスは珍しくフリージアに謝罪した。
この状況になることは見えていた。それでもフリージアがアークの「星」になると分かっていたから、ここまで引き上げたのだと。
自らがシンボルとして祭り上げられ……そこでフリージアは思い至った。
ゴッデスがアークにいれば、取り返しのつかないことになっただろうと。
フリージアは急いでオスワルドの家に向かった。
家には多くの酒瓶が転がっていた。
彼は酒を飲む人ではなかったし、綺麗好きな性格であったとフリージアは知っていた。
フリージアは彼を「お父さん」と呼んで謝罪し、抱きしめた。
オスワルドはゴッデスを「永遠のアイドル」として残すために、そうせざるを得なかったのだ。
⑧永遠のアイドル
プリティーは活動を再開した。アイドルとしてではなく、ニケの人権向上のために動いた。
フリージアの気力は充溢しており、ニケの人権擁護団体も勢いを取り戻していった。
親子の仲が元通りになったことはマスタングにとって面白くはなかったが、彼女を押し上げることさえできればそれでよかった。
知名度は全盛期をさらに超え、やがてプリティーの復活ライブが発表される。アニスの友人は、そのチケットを彼女に快く譲ってくれた。
フリージアが緊張してしまうと言うので、オスワルドは家で待機することになったが……やはりこっそりと、アークリアンホールに向かうことにした。
そして開幕したプリティーの復活ライブ。
アニスはふと、観客席から不審な音がすることに気づいた。
見れば……ステージに、銃が向けられている……。

……フリージアは、「象徴」として永遠に残る方法を考えた。
人気が最高潮になった瞬間、ライブを開く。
そこで必ず「何か」が起こる。そこでプリティーは、永遠のアイドルになるのだ。
その計画は、ミセス・ミスにだけ告げていた。

フリージアには銃弾が見えていた。
後悔は無かった。
「私のお父さんになってくれて、ありがとう」
「私、本当に幸せだった」
「バイバイ_」

ステージ上で、プリティーが崩れ落ちた。
アニスは犯人に飛び掛かり、気絶させられ、逃げ惑う人々の下敷きとなった。
オスワルドはフリージアを抱き寄せ、彼女が何を考えていたかを悟った。
そしてただ、嗚咽が漏れた。
⑨彼女の軌跡
犯人は、ニケフォビアの過激派たちだった。プリティーを後ろ盾としたニケ人権運動の拡大を恐れ、犯行に及んだのだ。
ニケフォビアは糾弾され、その勢力は急激に縮小。エニックによる法規改定が行われ、ニケの人権侵害は不法行為と認定された。
ハンソンはアークの街を歩み、彼女がアークを変えたのだと噛み締めた。
中央政府との取引が反故となり、マスタングは怒り心頭。ミセス・ミスは付き合っていられないと、テトララインを辞職することにした。
それはフリージアの願いを果たすため……次なる「アークの星」を見出すためでもあった。
そしてマスタングのもとに、中央政府からの連絡が届く。それはプリティーのボディを求めるものだった。
⑩むかしむかし
……アニスはテトララインで目覚めた。
彼女はライブにおける5名の犠牲者の一人で、脳が無事だったためにニケとして蘇ったのだ。
ハンソンはアニスに持ち掛けた。アイドルになってみませんか、と。
アニスは即答した。プリティーのような星になりたいと。

やがてハンソンのもと、「T.T.STAR」は活動を始めた。
アニスはプリティーのように、誰かに希望を与えたいと思った。そうすれば、プリティーは永遠に忘れられないはずだから。
アニスの言葉を聞いたオスワルドは、フリージアは人々が永遠に語り継いでくれると確信した。
そして同時に決意した。「彼女たち」の輝きは失われるべきではない……世界の片隅であろうと、その存在を残してみせると。
オスワルドは中央政府の目を避けながら、ゴッデス部隊の記録を書き綴っていった。

オスワルドは老年になっていた。
彼は殉職した同僚の息子・アーサーを引き取り、立派に育て上げた。

最後の本を書き終えたオスワルドは、アーサーの息子・バーニンガムにそれを語って聞かせることにした……。
「昔々、人類を守るために戦った人たちがいました」
「その人たちの名は、ゴッデス」
「勝利の女神という言葉にふさわしい、立派な人たちでした_」








































































































