いま描かれるカスミの本性、イチカの秘密!ノンストップ列車コメディ「Trip-Trap-Train」を読み返そうって記事!
本編は2023/09/27に公開された。
①

正義実現委員会のイチカは、ある日ハスミより他自治区で発掘された「遺物」の護送任務を与えられる。それはティーパーティー初の会合で用いられたティーセットであり、エデン条約事件で揺らぎつつある現ティーパーティーの権威を取り戻すにあたって大きく役立つものと考えられた。
かくして先生を含む発掘チームのもとに合流し、学園へと遺物を持ち帰ろうとするイチカ……であったが、誤って遺物入りカバンをゲヘナ行き特急列車に乗せてしまう!

かろうじて車両内に滑り込んだイチカと先生は、ハイランダー鉄道学園の乗務員らに無賃乗車を咎められることに。
イチカが投降の意を示そうとしたそのとき、突如として後部車両が爆発!高笑いと共にゲヘナの指名手配犯__温泉開発部部長・鬼怒川カスミが姿を現すのだった。
②

カスミの出現と同時に、車内には行き先の変更と座席移動を禁じる不可解なアナウンスが流れる。なんとこの列車の乗務員たちは、ギャングから多額の賄賂を受け取りカスミの護送任務を請け負っていたのだ!
カスミは密かに持ち込んでいた爆発物を用いて脱出を果たしたようだが……ハイランダーの生徒たちはなんとしても彼女を再拘束しようとするだろう。そして運悪くカスミの仲間と見なされてしまったイチカと先生は、「遺物」回収のためにもやむなく彼女と手を組むこととなってしまう……。
③

突然の行き先変更に憤る乗客たちを巧みな話術で煽動し、立ちはだかるハイランダー生を次々に倒していくカスミ。
するとそこに、列車の暴走を聞きつけたイオリたちゲヘナ風紀委員会が乱入!調査のためとして関係者全員をゲヘナに連行しようとする!
いっぽうヒナを極度に恐れるカスミは、先んじて入手していたカバンを交渉材料にイチカを従えようとする。イオリに捕まれば任務は失敗、遺物もカスミの掌の上、となれば……イチカは銃を握り締め、そして__
イオリとカスミの両方を撃つのだった。
カスミの手より離れたカバンは地面に衝突し、何かの割れる大きな音が響いたが……知ったことではない!もはや全てが限界だった。カスミの挑発的な態度も、加速度的に混沌を極めていく状況も、イチカの理性を吹き飛ばすには十分であった。
そしてイチカはこれまでの鬱憤を晴らすがごとく、残る不良生徒らをばったばったと薙ぎ倒していくのだった。

④
イチカはこれまで、生来の攻撃的な性格を意識的に抑えることで円滑な人付き合いを実現していた。自棄によってそうした恥ずべき部分を見せてしまったことに後ろめたさを覚えるイチカであったが、先生は「イチカのおかげでスッキリできた」とその行いを肯定する。
先程の姿は2人だけの秘密にしよう、ティーパーティーへの謝罪も付き合うよ、という先生の言葉に安堵するイチカ。
「……マズい気がしますね。このままだと、もっと先生に甘えちゃいそうで」
「建前とかではなく、本当に危険なんっすよ。先生さえいれば、どうにでもなる__そんな風に思っちゃいそうっすから」
二人が絆を深めたそのとき……列車の進行方向上に大量の爆発物が確認される!それはカスミ救出のため温泉開発部が仕掛けたもので……!!

そして抵抗の間もなく、列車は爆破されてしまうのだった。
生徒会にて頭を下げる先生とイチカであったが、しかしナギサは遺物の破損を気に留めていない様子であった。重要なのは遺物の真贋であって、紛失さえしていなければいくらでも復元できるからだ。
イチカはほっと胸を撫でおろし、先生に対しこれからは遠慮なく甘えていきますから!と”宣戦布告”するのだった。
「先生がいいって言ったことなんで!途中で面倒になったとしても、知らないっすよ!」
「明日が待ち遠しいっす。私も先生を振り回していいんだって思うと……なんだか先生の生徒にちゃんとなれた気がするっす」

そしてイチカが笑顔を浮かべる傍ら__風紀委員会の護送車両に積み込まれたカスミは、再びその手の起爆装置を作動させていた。