麗しのチーパオがやってきた!
そして今_山海経のおぞましき実態と、門主キサキの秘密が暴かれる。イベントストーリー「月華夢騒」を読み返そうって記事!
本編は2024/08/21に公開された。
※今回のストーリーは「ネバーランドでつかまえて」「龍武同舟」の知識があるとより楽しめる内容となっています。未読の方はぜひチェックを!
①開かれる門戸
玄龍門の門主・竜華キサキの決定によって山海経とレッドウィンターの交流会が開かれることとなった!伝統を重んじる山海経の歴史において、外部の生徒を招待するなど前代未聞の事態だ。
伝統とは「守るべき良き慣習」を意味するのであり、変化を拒み続けることではない。世界は広く驚異に満ちていて、守ろうとばかりしていれば全てを失ってしまう……キサキはそれを皆に伝えようとしていたが、玄龍門の構成員たちは不安を隠せない様子であった。
そしてついにレッドウィンター事務局_チェリノ・トモエ・マリナの3人が山海経自治区に足を踏み入れる。すると玄龍門の構成員たちはキサキの指示を曲解し、チェリノたちを取調室や牢屋に叩き込んでいくではないか!
キサキは心労から倒れそうになりながらも、何度も命令を訂正。ようやく一行を六和閣に招き入れるのだった。
②伝統を継ぐもの
チェリノは漆原カグヤらが演じる「京劇」に感嘆。その後もミナに連れられ、玄武商会、梅花園などを見て回っていく。しかし彼女らが山海経の地を歩き回る姿に、いくらかの者たちは危機感を覚えていた。
そして_京劇部部長であるカグヤもまたその一人であった。何者かから山海経の外れに呼び出されたカグヤは、そこで待ち受けていた申谷カイに心中の怒りを指摘される。
伝統を解さぬ外部の人間に京劇を披露させられた屈辱……。玄武商会の存在を黙認していることといい、シャーレやレッドウィンターを招いたことといい、キサキは門主としての道から外れようとしている!
カグヤの激情を焚き付けたカグヤは、彼女にとある演劇の題目を提示する。カグヤは動揺しながらも、キサキを正しい道に戻すためとしてそれを受け入れるのだった。
③月下の竜華
翌日。チェリノたちを竹林に案内していたキサキは、その途中で突如昏倒してしまう。
サヤの治療でなんとか回復したキサキは、現場を目撃してしまった先生に対し秘密を打ち明ける。
昨年のこと。彼女は不祥事によって失脚した先代の穴を埋めるかたちで、門主の座に就任した。2年生が門主になるなど異例の事態であったが、3年生は誰もその大役を引き受けようとしなかった……彼女は面倒事を押しつけられたのだ。
そこでキサキが門主として最初に下した決定は、当時山海経に危機をもたらしていた申谷カイを退学させること。その影響力を鑑み、キサキは通常一年かかる手続きを省略して彼女を即刻追放処分とした。多くの者たちは「伝統に従っていない」とそれを咎めたが、結果としてキサキの判断により被害は抑えられたのだ。
しかしその際、キサキはカイの毒を受けてしまっていた。その身体は既に大きく衰弱しており、サヤの薬無しではまともに動くことすらできないのだという……。だが山海経の門主として、弱みを見せる訳にはいかない。付け入る隙を与えれば、先代のようにたちまち喰われてしまうだろう。
ゆえにキサキはサヤとだけこの秘密を共有し、威厳に満ちた門主を演じていたのだが……そんなサヤの薬が、いつの間にか別物にすり替えられていたのだ。カイの内通者は、練丹術研究会の中に潜んでいた_。
④伝統VS革新
そして翌朝。「新しい劇を披露したい」というカグヤの要望に応じ、キサキはチェリノらと共に白虎公園を訪れる。しかしそこでカグヤらが演じたのは、名こそ出していないものの……明らかにキサキの行いを皮肉り、露悪的に描き出した物語であった。
キサキが伝統を乱し、逆らう者を力に任せ抑圧していけば、山海経は破滅を迎えるだろう……そして劇の終わりに、カグヤは面を外し叫ぶ。「伝統の名のもと、竜華キサキを糾弾する!」と。すると京劇部は一斉に銃を取り出し、キサキとチェリノらを包囲する!
サヤは逃げるよう必死にキサキへと呼びかけるが、彼女の瞳にはある種の諦観があった。
「此処を離れて、一体何処へ行けば良いのじゃ?」
「組織の長とは本来、天に捧げられる生贄のようなものじゃ」
キサキは既に部下たちからの信頼を失ったことを察していた。
門主の窮地にあって、玄龍門の生徒たちは動かない。京劇によってキサキへの疑念を植え付けられてしまったからだ。民から見放された長に、もはや価値はない……。
しかしミナだけは、たった一人のキサキに味方する。彼女が慕っているのは「山海経の門主」ではなく、「竜華キサキ」という少女だからだ!
そしてまた、チェリノも暗く沈むキサキを叱責する。この程度のこと、レッドウィンターでは朝の挨拶にもならない!むしろカグヤたちのクーデターこそ、体制に「変化」をもたらすものに他ならないではないか。
チェリノやトモエの言葉を受け、ようやく役目を思い出した玄龍門の生徒たちはカグヤたちを拘束する。しかしその心に湧きあがった主への疑念は、そう簡単に晴れるものではなかった……。
⑤エピローグ
牢に繋がれたカグヤは、「カイを練丹術研究会に復帰させ、その後適切な段階を踏んでから退学させるべきだ」などと唱えていた。
かつてキサキは、適切な手続きを踏まずにカイを追放した。しかし校則を恣意的に破れば、門主が山海経を収める大義名分が無くなってしまう。門主は法の体現者であってこそ、その権力を行使できるのだ。
だがもちろん、カイが再退学など受け入れるはずがない_。
「_ついに、この時がきた」
「私は、私のものを取り戻す。誰にも邪魔させないよ」
「皆に伝えろ_」
「私が_帰ってきた、と」