喪失と郷愁。もう戻らないすべてのために。対策委員会編3章「夢が残した足跡」を読み返そうって記事!
2024/02/07にプロローグが、04/11、06/05、06/19、07/17、07/22にPART1~5が順次公開された。
- ⓪プロローグ
- ①動き出す過去
- ②クチナシの残香
- ③雷帝の遺産
- ④アビドス生徒会
- ⑤届かぬ言葉
- ⑥対策委員会の始まり
- ⑦臨戦
- ⑧紙一重の戦い
- ⑨原初の神格
- ⑩テラーVSテラー
- ⑪夢が残した足跡
- ⑫砂漠のお宝
- ⑬Signal of Abydos
⓪プロローグ
フランシスはその危険性ゆえにゲマトリアを追放された者_「地下生活者」のもとを訪ねる。
地下生活者は現在のキヴォトスが「学園都市」の様相を呈していること、「先生」の存在によってゲマトリアが解散したことを把握。そしてフランシスを殴打すると、太古の神秘が生まれた地・アビドスより新たなキヴォトスの攻略を始めるのだった。
①動き出す過去
「ウトナピシュティムの本船」を失ったカイザーグループはアビドス砂漠より撤退……アビドスの借金を債権に切り替え市場へと売り出した!対策委員会はそれを購入しようとするも、セイント・ネフティスカンパニーによって債権を買い占められてしまう。
ネフティスグループは、アビドスの全盛期を共に過ごした巨大企業だ。しかし砂漠化の進行に伴ってネフティスも没落し、砂漠横断鉄道事業の失敗によって破産直前にまで陥った。その影響は自治区全体に及び、アビドスの人口流出は決定的なものに……そしてネフティスもまたアビドスから撤退することになったのだった。
そんなネフティスが、なぜ今さらアビドスに関わろうとするのか?それも、彼らの狙いは「砂漠横断鉄道」の権利にあるようで……?
ホシノたちが困惑していると、アビドス自治区にハイランダー鉄道学園の生徒が乗り込んでくる!
②クチナシの残香
ハイランダー鉄道学園は、古くからネフティスグループと協力関係にあった。ネフティスの令嬢であったノノミも、本来はそうした縁からハイランダーの生徒会長になる予定であったのだ。
そんなノノミは、かつて自身の執事を務めたネフティス幹部と再会することになる。彼によれば、ネフティスは複数の投資家に声をかけて債権購入の資金を調達したのだという。
ネフティスに応じた彼ら私募ファンドの目的は、砂漠横断鉄道の全権利だ。しかし運悪く、ハイランダーの倉庫からそれを妨げる一つの契約書が発見されてしまった。
それは梔子ユメがネフティスと交わした_「砂漠横断鉄道における関連施設の使用権」をネフティスから100万円で買い入れるという契約であった。
契約金の1万円は既に支払われているため、関連施設使用権は「売買中」扱い。契約の有効期限が切れる2日後の正午まで、私募ファンドはこれに手出しできないのだ。
そこでホシノは、ユメが失踪したその日にネフティスと契約を交わしていたことを知る。ユメの遺品は塵の一つまでかき集めたはずなのに、知らなかった彼女が今になって現れてくる_ホシノは激しく動揺し、衝動的に部屋を飛び出していくのだった。
「攻略法その1_既に起きた出来事は変えられない」
先生が未来をどう変えようと、過去にだけは干渉できない。ハイランダーに契約書を発見させた時から、地下生活者の計画は始まっていた。
そして翌日……アロナたちが異変を察したその直後、シャーレビルが爆破される!
「攻略法その2_奇跡の担い手とはいえ、肉体には物理的な限界がある」
「それが先生……あなたの弱点でしょう?」
「ヒヒッ、ヒッ……イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」
③雷帝の遺産
ネフティス幹部は、私募ファンドの狙いが砂漠横断鉄道の隠された姿_非対称兵器「列車砲シェマタ」にあることを明かす。
その実態は_1トン以上の爆弾を500km先まで飛ばす超長距離砲を、鉄道路線の上で稼働させるというもの。当時のゲヘナ生徒会長「雷帝」より入れ知恵を受けたアビドス生徒会が、アビドス復興のためネフティスにこの開発計画を持ちかけたのだ。
結局のところ……雷帝の設計図は時代を先取りしすぎており、当時の技術レベルで列車砲のエンジンを完成させることはできなかった。
しかし今のテクノロジーであれば、シェマタを完成させられる……それに気付いたからこそ、私募ファンドはネフティスと結託し砂漠横断鉄道の権利を求めたのだ。
今のままでは、ネフティスと私募ファンドの双方にシェマタの権利が渡ってしまう……鉄道を買い戻したかっただけのネフティスとしては、私募ファンドの恐るべき野望は阻止したいのだという。
シェマタ復活を止めるには、「ホシノが契約の引継ぎを宣言する(=アビドス生徒会がシェマタの権利を確保する)」、あるいは「ホシノとユメからなる“アビドス生徒会”は非認可の組織であったと宣言し、契約そのものを無効化する(=ネフティスが全権利を確保する)」しか手立てはない。
それも、明日の正午に開かれる債権者団体の総会にホシノが間に合えばこそ可能な話。会場であるアビドス中央駅旧庁舎には、無数の兵が待ち受けている……!
④アビドス生徒会
ホシノとユメが出会ったのは、2年前の春頃だった。
ネフティスの撤退も決まり、アビドス自治区からは人が流れ出ていくばかり。環境と共に治安も悪化し、当時のアビドスは無法地帯と言ってもよい状態になっていた。
前生徒会から会長職を押しつけられたユメは、それでもアビドスを立て直そうと懸命に活動し……不良に絡まれたところを、1年生のホシノに救われたのだ。
ユメは頭が回る方ではなかったし、すぐに騙されては危険な目に遭っていた。ホシノは馬鹿馬鹿しいと思いながらも、しかしそんな彼女を放っておけず……そしていつしか、2人は一緒にいるのが当たり前になっていた。
「疑念、不信、暴力、嘘……そういうものを当たり前だと思うようになったら、私たちもいつか、自分を見失っちゃうよ」
「そうやってアビドスを取り戻しても、それは私たちが思い描いたアビドスにはならない」
「だからね、ホシノちゃん。困ってる人がいたら、手を差し伸べるの」
「お腹を空かせたり、寒さに凍えてる人がいたら助けてあげるの」
ユメは様々な困難や悪意に晒されながらも、決して暴力に訴えかけようとはしなかった。ホシノは圧倒的な強さを持っていたが、そうした優しさ_心の強さでは、彼女には敵わなかった。
時が経ち。アビドス本館が砂に呑まれ、ユメとホシノは別館に引っ越すこととなった。もう、彼女たち以外はアビドスを見捨ててしまった_かつてキヴォトス最大にして最強と謳われたアビドス高校も、今やたった二人の生徒しか残されていないのだ。
そこでホシノは、ついに生徒会に入ることを決意する。ユメは大喜びして記念写真を撮り……そして、ドタバタだらけの生徒会活動が幕を開けるのだった。
お宝の気配に目を輝かせたり、水着姿で砂漠を発掘したり、失敗して一緒に悲鳴を上げたり……そんなくだらなくて楽しい日々は、あるとき突然終わりを告げた。
ユメがアビドス砂漠で死んだのだ。
⑤届かぬ言葉
「奇跡なんて起きっこないですよ、先輩。それよりも現実を見てください!」
「あなたはアビドスの生徒会長なんですよ!?もう少し、その肩に乗った責任を自覚したらどうなんですか!」
不良に襲われたユメを助けるのも、決して初めてではなかった。しかしその日のホシノは無性にイライラしてしまって、その感情をユメにぶつけてしまったのだ。アビドスの環境、無責任な大人、理想だけは高く何もできない自分……様々なものへの怒りが、彼女の中に渦巻いていた。
ホシノはすぐに謝ろうとしたが、生徒会室に戻ったとき彼女の姿はなく_それから何日経っても、どれだけ探し回ろうともユメは見つからなかった。
そして失踪から33日後。ホシノは、ようやくユメと再会する_死体となった彼女と。彼女は砂嵐に襲われ、砂漠をさまよい孤独に死んだのだ。
ユメの遺体や装備品はホシノが回収したが、彼女がホシノに託そうとしていた日記……「生徒会長手帳」だけは見つけることができなかった。
そしてユメの死の真相を知ろうと、何度も砂漠に向かうホシノを見ていたから_ノノミは、アビドスを放っておくことができなかった。
⑥対策委員会の始まり
季節は冬。ノノミはホシノに接触し、ネフティスの資金を引き出せる「ゴールドカード」での借金返済を持ちかける。
しかしノノミ自身がどう思おうと、それを実行した時点でアビドス高校の所有権はネフティスに移ったと見なされるだろう。「ネフティスの十六夜ノノミ」では、アビドスの力にはなれないのだ。
アビドスの衰退にトドメを刺したネフティスの人間として……罪悪感からホシノに関わり始めたノノミは、ハイランダーへの進学を控えてもなおアビドスに足を運んでいた。そんなある日、ホシノとノノミは本館跡地で記憶喪失の少女_砂狼シロコと出会う。
そしてシロコはホシノの強さを認め、アビドス入学を決意。ノノミもまた、ネフティスと袂を分かってアビドスへと進学した。アビドス廃校対策委員会は、そうして誕生したのだ。
⑦臨戦
ネフティス幹部の目的は、私募ファンドと対策委員会を衝突させ漁夫の利を得ることにあった。ネフティスもまた、シェマタの力をもって会社を立て直そうとしていたのだ!
ネフティス幹部はノノミを人質に取り、「アビドス生徒会が非認可の組織であった」と宣言するようホシノを脅す。それを受け、ホシノはネフティスと私募ファンドの壊滅、シェマタの破壊を決意。これから起こる全ての責任を引き受ける覚悟で、アビドスを飛び出していく。
そこで先生は目を覚ます。爆発に巻き込まれた先生だが、プラナの尽力によって奇跡的に一命を取り留めていたのだ。シロコ・セリカ・アヤネは先生と共にホシノを追跡。旧庁舎へと辿り着くが、そこにはカイザーグループ頭目・プレジデントの姿があった!
ハイランダーの管理監督官・朝霧スオウはカイザーグループと内通していたのだ!プレジデントは私募ファンドを買収し、ノノミのゴールドカードを奪ってシェマタが眠る閉鎖地区「生徒会の谷」へ向かおうとする。
だがそこでスオウがカイザーを離反!ゴールドカードを強奪し、「生徒会の谷」でホシノに一騎打ちを仕掛ける!
⑧紙一重の戦い
ノノミを救出したシロコたちは、ハイランダー生徒会CCCの協力を得て生徒会の谷へ急ぐ。ホシノはシェマタを破壊し、その責任を負ってアビドスを退学するつもりだ……そんな結末は認められない!
スオウを破ったホシノに戦いを仕掛け、どうにか辛勝を収めるシロコ。後輩たちや先生の説得を受け、皆の手を取ろうとするホシノだったが_
「おやおや……誰がそのような選択を許しましたか?」
そこでスオウが列車砲シェマタが起動させ、アビドス高校の破壊へと動き出す!
地下生活者は実在と非実在が入り混じる「混沌の領域」に身を潜め、そこから現実世界へと干渉していた。スオウは知らず知らずのうちに地下生活者の傀儡とされていたのだ。
列車砲シェマタ、それはユメの理想を否定する“暴力”の象徴。そんなものがアビドスに存在してはならない。ホシノは後輩たちを突き放してシェマタを追い……その先で、ゲヘナ最強の少女・空崎ヒナと対峙することになるのだった。
⑨原初の神格
先生からの応援要請を受けたヒナは、忌まわしき雷帝の遺産を始末するためにもホシノの足止めを買って出ることに。列車の上で繰り広げられる「最強」同士の死闘……それを制したのはヒナであった。
ユメが「砂漠横断鉄道の関連施設使用権」を購入しようとしたのは、アビドスとネフティスが自治区を蘇らせようとした証を残したかったから。シェマタの存在を知り、それを破壊しようとした訳ではない。スオウも対策委員会と先生が止めてくれた、あなたがこれ以上戦う必要はない……。
ホシノを諭そうとするヒナだったが、そこで彼女の様子がおかしいことに気付く。ホシノは地下生活者の見せる幻覚に囚われ、狂乱状態に陥っていた。
私は謝罪も感謝も伝えられないまま、彼女の最後の言葉も知らないままに生きていかねばならないのか。
そもそもあの時、私が怒らなれば、生徒会に入らなければ、私がいなければ__。
「……あぁ」
「やっぱり」
「ユメ先輩を殺したのは_私だ」
私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ。私だ……激しい自責と後悔が、ホシノの心をどす黒く塗りつぶしていく。
(……この苦しみは、誰にも分かるはずがない)
(何も知らないくせに)
瞬間、緋色の炎が天に向かって噴き上げる。
駆けつけた先生たちがそこで目にしたのは、腹部を撃たれ倒れるヒナと_赤黒く「反転」したホシノの姿であった。
⑩テラーVSテラー
攻略法その3、心は予測も制御もできない。
攻略法その4、小さな傷が致命傷となる。
地下生活者の「攻略」は、今ここに達成を見ようとしていた。
六つ目の古則「非有の真実は真実であるか」。我々は死という真実を観測しながらも、生きながらにそれを自ら経験し、理解することはできない。
だが、「苦しみ」なら?ホシノは耐えがたい苦しみを通じて、自らの「死」を認識した。そして死に触れた彼女は、恐怖の側面を露出し……あらゆる神聖の原点にして頂点・ホルスとしての本質を現したのだ。
さらにはそれに呼応し、かつてホルスと世界創造を巡り争った雷神「セトの憤怒」までが降臨してしまう!
そしてシロコがホシノを止める力を求めたとき、「色彩」が再びキヴォトスへと接近する。シロコはその歪んだ光へと手を伸ばしていくが_
「そんなものに手を出しちゃダメ」
もう一人のシロコがそれを阻止する!色彩の力を利用し、プラナが強制転移シーケンスを発動させたのだ!
「……分から、ない。他の人に、この苦しみは……」
「ううん。私も、よく知ってる」
シロコ*テラーはホシノの攻撃を避け、銃を構える。
「勝負しようか、ホシノ先輩」
⑪夢が残した足跡
ホシノはまだ完全に反転しきってはいなかった。手帳の存在が、彼女をかろうじて「小鳥遊ホシノ」に留めていたのだ。
それを悟ったプラナは、「混沌の領域」の性質を再現することでホシノに先生たちの声を届けようとする。対策委員会はシロコ*テラー、そして再起したヒナと共にホシノ*テラーに応戦。猛攻を凌ぎ切り、「シッテムの箱」をついに彼女へと接触させる!
シッテムの箱を介して、対策委員会の面々はホシノに言葉を届ける。ユメの死に、ホシノが罪や責任を感じて苦しみ続ける必要はないのだと。そしてまた、シロコ*テラーも「死に囚われるのではなく、思い出を未来に連れていこう」と語り掛けるが……彼女もまた、元の世界から持ってきた皆の遺品を手放せずにいた。
思い出を手放すことなど、できはしないのだ。だからホシノは、手帳を諦め切れずに……。
「彼女を一番知っているのは、ホシノなんでしょ?」
「なら、そこにはきっと……ホシノの信じる言葉が残されていたはずだよ」
「非有の真実は真実であるか」_その問いに対して先生が導き出した答えは、ただ信じることだった。事実は分からないかもしれない。けれど真実は、ホシノの中にある。存在しないとしても、それが真実であることは変わらない_!
「それが、私たちにできる唯一の選択」
「死を、時間を巻き戻せない、平凡な私たちにとって……」
「たったひとつの_奇跡だから」
そしてホシノは、己の中で手帳を見つけ出す。
「ホシノちゃん、元気にしてる?」
「3年生になったホシノちゃんは、どんな風に成長してるんだろうね」
「どうどう?良い先輩になれた?」
「後輩の面倒は見られてる?守れるくらい頼もしい先輩になれたかな?」
「困った時に手を貸してくれる友達はできた?ちゃんと未来に向かって進めてる?」
「ちゃんと、うへ~って笑えてる?」
ユメが未来のホシノに宛てて残した手紙。それこそ、ホシノが至った真実だった。
ユメの幻影を前に、ホシノは激しく嗚咽する。彼女がいなくなって辛かったこと、それでもアビドスの、皆のためになればと思って頑張ってきたこと。なのにトラブルを起こして、後輩にも迷惑をかけてばかりいること……。誰にも言えなかった弱音を、涙ながらに吐露するホシノ。
ユメはそれを優しく受け入れながらも、彼女を前へと送り出す。
「会いたいです……会いたいです、先輩」
「うん……知ってるよ」
「でも、ホシノちゃんにはまだやることがあるでしょ?」
「後輩を守ってあげないと、ね」
その言葉を最後に、ユメの幻はかき消える。ホシノは叫び、泣き……そして、ユメの想いを胸に立ち上がる。
「……分かりました、ユメ先輩」
「二人で過ごした幸せな時間も、一人になってからの時間も」
「……繋いでくれた全てを、大切にします」
「……ちょっぴり意地悪な後輩を、ユメ先輩が大切に思ってくれていたことも」
「だから私は、もう立ち止まりません」
「進んでいきます」
「前に向かって、歩いていきますね」
「……そうですよね、先輩」
「私がいることが、その証ですから」
⑫砂漠のお宝
地上へと降り注ぐセトの雷撃_それを防いだのは、ホシノの盾であった。
想定外の事態に地下生活者は動揺しながらも、神々の星座さえあれば戦局的優位は覆らない!となおも勝ち誇ろうとする。
しかしそこで、アロナ・プラナがシッテムの箱に秘められていたプロセス「ペレツ・ウザ」を解放!制約解除された「箱」と大人のカードの力をもって、先生は生徒たちと共にセトの憤怒を撃破するのだった。
すると拡散したプラズマに地中の鉱物が反応。ぱちぱちと火花を放ち、幻想的な光で夜空を包み込んでいく。
ユメの言った通り、砂漠にお宝はあったのだ……感慨に浸るホシノであったが、ヒナの一言によってその鉱石の恐るべき価値が明らかに!せめて少しでも持ち帰らないと!とセリカたちは大慌て。さらには2人のシロコによる喧嘩も勃発し、一行は騒がしい夜明けを迎えることとなるのだった。
「おじさんがカッコつけようとすると、いつもこんな感じだよね~」
「……うへ~」
後日。ホシノは皆に謝罪と感謝を述べ、アビドス生徒会長の役目を引き受けることに決めた。スオウは正気を取り戻し、列車砲もまたヒナとマコトによって徹底的に爆破解体された。
そしてシロコ*テラーに脅された地下生活者は現世との繋がりを断ち切り、ひとり死の恐怖に震える日々へと戻ることになるのだった。
⑬Signal of Abydos
ネフティスとハイランダーが砂漠横断鉄道事業を一部再開したことで、アビドス自治区にも少しずつ活気が戻り始めていた。しかし人が増えれば、それだけトラブルも増える……。
窃盗犯を追った先生は、そこで偶然にもシロコ*テラーと再会を果たす。彼女は廃品を売って生計を立てつつ、ひそかに自警団として活動しているようであった。
「この苦しみも、幸せも、私の人生にとってどれも大切なもの」
「だから……苦しんで、後悔して、立ち止まるんじゃなくて……前に進むべきなんだ」
「いつまでも後ろを見てたら……みんなが差し伸べてくれた手を、握り返せないからね」
そんなホシノの言葉を受けたシロコは、仲間の遺品を手放し前へ進んでいくことに決めたようだ。先生は彼女の決心を悟り、クズノハの捜索を諦めることに。シロコはとっくに、「今」を生きているのだ。
一歩一歩は小さくとも、必ず変わっていける。そんな先生の応援にシロコは微笑み、不定形で可能性に満ちた未来へと歩み出していくのだった。
_「目視できる距離まで来ました!」
デカグラマトンの預言者・ビナーがアビドスの市街地に現れた!対策委員会が現場に急行すると、そこには「アビドス生徒会」の新メンバーであるシロコ*テラーの姿が!
「ん、今回だけ」
すると彼女は真顔で覆面を装着し、“作戦B”の実行を告げる。
「……って何よそれ」
「うんうん!セリカちゃんも早く準備してください~☆」
「遊んでる場合じゃありません!ビナーがこちらに気づいたようです!」
「アヤネちゃんも遊んでるじゃない……」
「う、うーん……」
「この覆面はあげないよ。大切なものだから」
そして6人は賑やかに、新たな戦いへと挑んでいくのであった。
「よし、それじゃ……」
「アビドス、行くよ!」