ぽむぜろアーカイブ

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メインストーリーVol.3 エデン条約編3章「私たちの物語」を読みかえす!【Scenario Archive】

エデン条約編3章を読み返そう!って記事。
2021/12/15に前編が、2022/01/12 に後編が公開された。

⓪預言の大天使

セイアはアズサの襲撃を夢で「予知」していた。
ゆえに、彼女が自らのヘイローを壊しにきたことも理解していた。

肉体に取り返しがつかないダメージを与え続けることで、ヘイローは破壊できる。
尋常ではない量の弾薬を浴びせ続ける。水や食料の摂取を長時間に渡って強制的に絶つ。呼吸ができないような環境下に閉じ込める。流血や体温低下によっても、「死」をもたらすことはできる。アリウスは人殺しの方法を研究し、教えているのだ。そしてアズサの手には、アリウスが完成させた「ヘイローを破壊する爆弾」があった。
だがセイアは、夢の中で”人殺し”になることを拒む彼女の姿を見ていた。

「君は実のところ……私を殺しに来たのではなく、私に助言を貰いに来たんじゃないのかい?」

「君がこの先、どう足掻くべきなのかについて」

①楽園の問い

セイアと言葉を交わしたアズサは、彼女の死を偽装するべく部屋を爆破した。救護騎士団長のミネはセイアを更なる襲撃から守るため、彼女のヘイローが破壊されたという偽情報を流し、安全な場所に彼女を隠した。そしてアリウススクワッドはアズサが任務に成功したのだと信じた。
だがそれと同時に、ナギサは次に狙われるのは自分だと感じていた。だからこそ彼女は、ミカが独りになってしまう前に犯人を見つけ出そうと躍起になったのだ。結果として__裏切り者はミカその人だったのだが。

しかし……ただゲヘナが嫌いだからというだけで、幼馴染のナギサやセイアまでもを殺そうとするだろうか?ミカの目的はあくまでホストの座。彼女の企みはもともと、セイアを拉致監禁する程度のものだったのではないだろうか。
だがアリウス側の狙いは、初めからティーパーティーの抹殺にあった。それに気付けなかったミカは、セイアの死を聞いた時点で止まれなくなってしまったのだろう。

あのときミカ自身が前線に現れ、補習授業部にナギサの引き渡しを要求してきたのもアリウスに殺されることを防ぐためだったのではないか……。ハナコは推察するが、ミカはそれを否定し、はぐらかす。きっと彼女の本心を理解することはできないのだ。

楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか。もし他者の本心に辿り着くことができれば、それはもはや他者ではない。「誰かの本心を理解した」という言葉を、どうすれば真実だと証明できるのか。それが不可能な証明ならば……信じるしかないのだ。そこには楽園があるのだと。だからこそ先生は生徒を信じるのだ。そうしなければ、何も始まらない__。

「エデン条約」調印式当日。先生は参列者の一人として、会場となる通功の古聖堂に赴いていた。この古聖堂は第一回公会議が行われた由緒ある場所であり、マコトからの指定でこのたび修繕が施されることとなったのだという。

調印式を祝って学校は休みとなり、ヒフミたち4人は久しぶりに集まってレストランで談笑していた。だがアズサは突如として謎の悪寒に襲われ、店を飛び出す。

そして__古聖堂にミサイルが墜ちた。

②奪われた楽園

マコトはアリウスと結託し、目障りなティーパーティーと風紀委員会を潰す算段を立てていた。飛行船の中に逃れ高笑いを上げるマコトだったが、ゲヘナを憎むアリウスが彼女たちに味方する訳もない。内部に仕掛けられていた爆弾が炸裂し、飛行船は墜落していく。

アリウスの放った巡航ミサイルの被害は甚大であった。多くの生徒が重傷を負い倒れる中で、古聖堂地下のカタコンベより多数のアリウス兵とユスティナ聖徒会の複製(ミメシス)が現れる。公会議において定められた「戒律」を守護する古の組織・ユスティナ聖徒会。カタコンベに残るその威厳より生じた複製(ミメシス)は、あらゆる物理攻撃を無効化しながら残存勢力へと襲い掛かる。

ヒナは深手を負いながらもなんとか先生を逃がそうとするが、その前にサオリアツコヒヨリミサキ……アリウススクワッド」の4人が立ちはだかる。彼女らは調印式を第一回公会議の再現に仕立て上げ、アリウス分校に残っていた権限を発動。トリニティの代わりに条約に調印し、「ETOはアリウススクワッドが担う」と書き加えたのだ。

アツコとマエストロとの取引によって顕現した「戒律の守護者」たちはETOの命令に従い、鎮圧対象と認定されたゲヘナ・トリニティを攻撃し始める。アリウスがかつて受けた弾圧、その報復を行うかのように......。
サオリに撃たれた先生は、ヒナの決死の行動により救急医学部に回収される。遠のく意識の彼方、夢の世界で再び先生はセイアと邂逅する。

③拡散する憎悪

ミメシス。倒れることも、死ぬこともない不可思議な兵力。アリウスの狙いは条約を簒奪し、これを入手することにあったのだ。
条約の主体であるアリウススクワッドが存在する限り、戒律は存続していく。事態を止めるにはサオリのヘイローを破壊するしかない……!その事実を突きつけられ、息を呑むアズサ。サオリはセイア殺しの偽装をとうに看破していた。それはすなわち、アズサに「人殺し」へ堕ちる覚悟が無いことの証左に他ならない。

聖堂付近に控えていたゲヘナ・トリニティの予備兵力は、真の敵を知る由もないまま互いに衝突を開始。各組織のトップが生死不明となった今、トリニティ総合学園内ではパニックが拡大し、派閥同士での紛争までもが勃発し始める。ハナコはサクラコの代行としてシスターフッドの残存兵力を掻き集め、事態の収拾にあたるが……。

ゲヘナへの敵意に駆られ、救急医学部の救急車を攻撃しようとするトリニティの生徒たち。救護騎士団のセリナやハナエはそれを止めようとするも叶わない……するとそこに閃光弾投擲!スズミの手助けもあり、先生はトリニティの治療室に運び込まれることとなる。

そしてハナコは、数々のピースを繋ぎ合わせて事態の全容を悟っていた。真の敵がアリウスであること……そして自分にこれを止める術が無いことまでも。

④虚しいばかりの世界で

今から私はサオリのヘイローを壊しに行く。
私はこれから、人を殺す。
それが当たり前の場所で、それが当たり前だと教わり、それが当たり前に動けるように訓練された存在……それが、本当の私。
こんな私が、ヒフミと同じ世界になんていられない。

私を友達だと思ってくれてありがとう。
「アズサちゃん」って呼んでくれてありがとう。

可愛いぬいぐるみをくれて、ありがとう。
海に連れて行ってくれてありがとう。

楽しい思い出をくれてありがとう。
可愛いものが、綺麗なものが、知らないものがあるって教えてくれてありがとう。

補習授業部での毎日……あんなに素敵な日々を過ごして、たくさんの事が学べて良かった。
学ぶことは本当に楽しいことだった……これまでの時間は、死んでも忘れない。

ありがとう、ヒフミ。さよなら。

ヒフミに別れを告げたアズサは、アリウススクワッドを強襲する。
トラップを巧みに駆使し、ヒヨリやミサキを行動不能に陥らせるアズサだったが、自らの師であるサオリには思考を先読みされていた。サオリに銃弾を叩き込まれながら、アズサは命からがら逃走する。

「まあ良い、 どうせあいつはまたやって来る」

「あいつは必ず、これを取り戻しにくるだろう」

サオリはアズサが落としていった 「ペロロ博士」のぬいぐるみを拾い上げ、呟く。闇の中で光を見つけた虫は、もはやそれ無しでは生きられないのだと。
だがその時、サオリはぬいぐるみに奇妙な固い感触を見出す。ぬいぐるみの中に仕込まれていたのは、彼女がセイア襲撃の際に渡した……”ヘイローを破壊する爆弾”だ!

「逃げろ、姫っ!!!」

雨に打たれながら、アズサは膝を抱えすすり泣いていた。ヒフミから貰った友情の証。それを、人殺しの道具に使ってしまったのだ。これでもう、皆のもとに戻ることはできない……。

語り部の一歩

だから言っただろう?
これが物語の結末。 何もかもが虚しく、 全てが破局へと至るエンディング。
ここから先を見たところで、 無意味な苦痛が連なっていくだけだ。
これはつまるところ各位が追い詰められ、結局誰かが誰かを殺める物語。
誰かが、人殺しにならざるを得ない話。
悲しくて、苦くて、憂鬱になるような。それでいて、ただただ後味が苦いお話……そうは思わないかい。

「……分かったよ、 セイア」
「君も、その後はどうなったのか見ていないんだね?」

……見る必要が、あるのかい?
悲しいエンディングの後、そこに続くエピローグを見たところで悲哀が増すだけだ。

「……この後のお話を確認するのは、怖かったよね」
「だから夢の中に隠れて起きられず、ずっと彷徨ってたんだね」

…………確かに、そうだったのかもしれないな。
仕方あるまい。
憂鬱で、悲しくて、苦しくて……たとえ、最後まで後味の苦い話であったとしても……

私もこの目で、最後まで見届けるとしよう。

⑥楽園の証明

サオリを庇ったアツコは、何らかの力に守られ命こそ無事だったものの、深い傷を負ってしまう。彼女の「ロイヤルブラッド」に由来する聖徒会の力も弱まり、サオリたちは古聖堂で戒律を更新する必要性に迫られる。

その頃、トリニティではパテル派がクーデターを起こし、首長であるミカを解放してゲヘナに全面戦争を仕掛けようとしていた。だがミカは、それを「気分じゃない」 として一蹴する。パテル派が他の派閥を差し押さえた今、ミカの命令などなくともゲヘナへの宣戦布告を行うこと自体は可能なのだ。「命令されなきゃ憎むこともできないの?」そんなミカの態度に激怒したパテル派の生徒たちは、彼女を袋叩きにする。

「い、いじめはダメっ!こ、こんなの、私が許さないんだからっ!!」

コハルが勇気を奮ってミカを守ったとき、重体であったはずの先生が現れる。先生の姿を認めたミカの胸には様々な感情が去来。今まで押さえつけていたものが、涙となって溢れ出す。

「ごめん、セイアちゃん……」

「どうしてこうなったのかな……」

「こんなにバカで、 ごめん......」

「先生……私、セイアちゃんに会いたい……」

「ナギちゃんにも、もう一度会いたい……」

嗚咽するミカの姿を見て、セイアは彼女が「理由」を求めていたのだと悟る。嫌いであることに何かしっかりしたものが必要なのではと、合理化しようとして……間違いを重ねてしまった。

セイアは彼女の気持ちについて知ろうとする努力を怠っていたことを痛感する。もう一度、お互いに伝え合うことができれば……きっとその先には……!
伝えなければ分からない。同じ世界にいられないだなんて、そんなはずはないのだ。だから、ヒフミは立ち上がる。伝えなければ、分からないから。

⑦普通の少女

サオリに敗れ、倒れるアズサを支えたのはヒフミだった。

「アズサちゃんは一つ、大きな間違いをしています!!!私の正体、 それは......」

「”覆面水着団”のリーダー、ファウストです!!」

「ヒフミ、何を__」

「だからっ!!だから私たちは、違う世界にいるなんてことはありません!同じです!隣にだっていられます!」

頭から紙袋を被るヒフミ。その背後に現れたのはまさに「覆面水着団」!アビドスの対策委員会が加勢にやって来たのだ!

その頃先生は、病室から失踪したというヒナのもとを訪れていた。 頑張って、頑張り続けた先に、全てが台無しになった……そのために、彼女の心は折れてしまっていた。
ユメとの死別を経験してもなお戦い続けるホシノのように強くはなれないと吐露するヒナ。

「私だって頑張った!!いつも頑張って、どうにかしようとして……分かってもらえなくても、それでも……」

「私だって、小鳥遊ホシノや補習授業部みたいに……先生に構ってほしかった、褒められたかった!!」

そこでハッと失言に気付くヒナ。 溜め込んでいたものを全て吐き出した彼女は、やがて冷静さを取り戻す。彼女には自分に求められている役割が分かっていた。

「先生、行こう」

風紀委員会に正義実現委員会。互いに助け合い、立ち上がった者たちは、最終決戦の舞台へと歩を進める。

⑧青春の物語(Blue Archive)

「私には好きなものがあります!平凡で、大した個性もない私ですが……自分が好きなものについては、絶対に譲れません!」

「友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて、辛いことは慰めて、お友達と慰め合って……!苦しいことがあっても……誰もが最後は、笑顔になれるような!そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!」

「私たちの描くお話は、私たちが決めるんです!終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!」

私たちの、青春の物語を!!

古聖堂の廃墟に、ゲヘナの風紀委員会とトリニティの正義実現委員会。そして条約の発起人である連邦生徒会長の設立した「シャーレ」。条件は揃った。先生はそこで、連邦生徒会長の代行として「私たちがETOだ」と宣言する!
ETOとETOの衝突という状況に戒律は意味を消失し、聖徒会の複製は動作を停止していく。楽園を信じる者たちと、否定する者たちの戦い。五つ目の古則に答える必要などないのだ。信じることによって、楽園は証明されるのだから__!!

「どうして、どうしてお前だけ……!! 」

「私たちは一緒に苦しんだ、絶望した!この灰色の世界に!」

「全てが虚しいこの世界で、お前だけが意味を持つのか!お前だけがそんな、青空の下に残るのか!」

「……たとえ虚しくても、私はそこからまた足掻いてみせる。 サオリ……私は、もう負けない」

先生や友達の存在が、アズサに力を与える。 全力を尽くした死闘の末、ついにアズサはサオリに対し勝利を収めるのだった。

「もうやめよう、サオリ 」

「逃げよう、この場所から、アリウスから。いつの間にか植え付けられた、私たちのものじゃないはずの憎しみから」

アツコがそう語りかけたとき、マエストロが古聖堂地下の教義から人工天使・ヒエロニムスを完成させる。あちらが反則を使うなら、こちらも反則を使うまで!先生は 「大人のカード」を取り出し、生徒たちを総動員してこれを打ち破るのだった。

⑨エピローグ

湖に落下した万魔殿メンバーはアフロヘアーになった程度でちゃっかり無事で、意識を取り戻したセイアはミネと共にトリニティに戻ってきた。

そしてペロロ様のコンサートに参加して試験をサボタージュしたヒフミ、次の試験範囲は習っていないとそのまま赤点を取ったアズサ、調子に乗って3年生用のテストにチャ レンジしたコハル、放置プレイはイヤなハナコの4人で再び「補習授業部」が作られることとなる。それを聞いた先生はふらふらと倒れるのだった。

 

任務に失敗したアリウススクワッドに待っているのは、死の運命だけだ。自治区に戻れぬまま、彼女たちはトンネルの闇に向かって歩いていく。

「あなたはこれからも、たくさんのことを学んでいくでしょう。これからもずっと、友人たちと一緒に」

「例えすべてが虚しくても、この世界が暗く寂しいものでも……たとえ、コンクリートの隅であっても」

「アズサ 。あの時見せてくれた花のこと……今は少し、理解できたかもしれない」

「もう二度と会うことは無いかもしれないけれど。どうか、幸せに」

アツコは独りごちると、 サオリたちと共に闇の中へ去っていくのだった。

 

コンクリートの片隅に咲く花は、それでもと抗い続ける。