ぽむぜろアーカイブ

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演じるものたちの罪【百花繚乱編感想】

君はウィリアム・シェイクスピアを知っているか。

ブルーアーカイブ メインストーリーVol.5 百花繚乱編1章「いつかの芽吹きを待ち侘びて」が、このたび2023/11/22に完結した。

めっっっっちゃ良かった…………!!!!!

ので、あらぶるテンションのままに感想を書き出していきます!
まるっとストーリーふりかえっていくので未読の方はネタバレ注意!!

幕開き

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いきなり新キャラ登場でテンション爆上がり!!魑魅一座・路上流のリーダー、アラタちゃんです。かわいい女の子のインパクトで心を鷲掴みにする戦法です。ブルアカの巧みな手腕!

そんなアラタちゃんはナグサにボコされるんだけど、当のナグサは「自分はもう百花繚乱じゃない」とかなんとか言う。ここで思い起こされるのは、最終編の「これはコスプレでもにゃもにゃ……」というよくわからない態度だ。変な子キャラ……とするにはやっぱり妙な言動だったし、意味深な関連を思わせる。

 

ぎゃるぴマリアージュ

陰陽部部長・ニヤの招待を受けて、百鬼夜行を訪れる先生。そこで先生は、この章の主人公__勘解由小路(かでのこうじ)ユカリと邂逅する!

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この勘解由小路ユカリがほんとに良い子で、もう出会い方からして最高だった。街の人から財布を取ったらしいチンピラに対し、真っ向から反発するその気高さ!正義感!まさにえり~と!!

この勘解由小路ユカリは自分のことを「身共(みども)」とか言うし、「ぱ~ふぇくと」「ぴんち」「おふこーす」などと英語をひらがなで発音したりして、めっぽうかわいい。

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ことあるごとに「きらーん!」とか「」みたいなエフェクトを出すので、楽しくて仕方ない。表情はころころ変わるし、笑えば瞳の中に星が宿るし、八重歯だって見せちゃうし、もう好きしかない。こんなのずるいじゃん。

極めつけは「ですわ」「ですの」を操るお嬢様っぷり!お嬢様キャラ__中でも「色んなものに目を輝かせるお嬢様」がとっても性癖な私にとって、勘解由小路ユカリはどん!ぴしゃり!と稲妻めいて突き刺さってきたのです。

と、口調と行動をもって凄まじい勢いでキャラクターを立てていった勘解由小路ユカリは、先生に燈籠祭を案内している最中に使用人に見つかり、ぴゅーっと逃げていく。
はあ……好きだった……。ずっと興奮してた。こんなに好きなキャラ出てきていいの??好きな要素しかないんだけど……うれし……。

ここまでで勘解由小路ユカリは大好きポイントを荒稼ぎしまくっている。

・見ず知らずの人のために怒り、戦えるまっすぐな正義感。高潔さ。

・自分が正しいと思ったことを曲げず貫ける芯の強さ。

・お嬢様としてのどこか気品あふれる佇まい。オーソドックスなですわ口調。

・なのにめっちゃ瞳キラキラさせちゃう表情豊かなとこ。

・めっちゃかわいい&楽しいひらがな英語。

・ぎゃるぴ!!!!!!!

そう……ストーリー戦闘後の勝利モーションで勘解由小路ユカリはぎゃるぴを見せてくれるのだ。もうこれでだめになった。最高すぎる。和風お嬢様なのにこんなに親しみやすい~~~!!!

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和風お嬢様がキめるぎゃるぴが最高なんだから。奇跡だと思う。勘解由小路ユカリの勝利モーションぎゃるぴにしようって言ったひと。天才です。何らかの賞をもらってください。幸せになってください。あなたの発想のおかげで私はいまめちゃくちゃ幸せになってます。ありがとう……。

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一緒にいるだけで楽しいタイプじゃんね、勘解由小路ユカリ。付き合ってほしい。付き合う付き合わないとかじゃない。なんかもう一緒にいれたらそれでいいです。おんなじ時を過ごしたい。何気ない日々を彩ることができるひとです。色んなことにキラキラできて、キラキラする勘解由小路ユカリに、私もまたとっても嬉しく楽しい気持ちになって、キラキラできるのです。楽しい気持ちを周りに伝播できるひとです。そういうひとでありたい。勘解由小路ユカリになりたい。

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勘解由小路ユカリ、好きだ……。

 

ふたりのゆかり

と、そんなこんなで勘解由小路ユカリと最高のファーストコンタクトを果たした先生は、ニヤのもとに向かいます。私は勘解由小路ユカリにすっかりハートキャッチされてしまい、この時点でがっつり物語の世界にのめり込んでいました。

勘解由小路ユカリのキャラ立てと時系列の紹介を行いながら、それらを通じて読み手をストーリーに引き込んでいく序盤の構成がほんとにうますぎてこわい。ブルアカのシナリオすごいい……すき……isakusan(※)にお金はらえませんか??

※メインストーリーのシナリオライター兼シナリオディレクターの方。Twitterアイコンが渋顔のピカチュウなのでピカチュウとかピカおじとか呼ばれている。

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陰陽部の部室に行くとニヤ・カホ・チセちゃんの3人がお出迎え。なんでもニヤによれば、怪談に語られる「花鳥風月部」から陰陽部へと脅迫状が届いたのだという。花鳥風月部の実在なんて確認されたことはないし、まあイタズラだろう……とは思うんだけど、こういう事態に対処するはずの百花繚乱がちょうど解散しちゃったばかりなのだとか。

そんな話をしていると、いきなりターン!と陰陽部の戸が開かれる!勘解由小路ユカリだ!!!このスチルかわい~~~!!!おくち見て。おくち。

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「百花繚乱継承戦の証人となってくださいまし!」

帰ってきた勘解由小路ユカリの目的は、委員長代理ナグサを継承戦で打ち倒し、その座を奪うことにあった。

勘解由小路ユカリは百花繚乱がほんとに大好きで、大好きな先輩たちと過ごす日々がほんとに幸せだった。
けどあるとき委員長アヤメと委員長代理ナグサが失踪し、百花繚乱は活動を停止。「虚妄のサンクトゥム」から無数の怪物が溢れ出した時も、組織的な救助活動を行うことができなかった。そんなこんなで百花繚乱からはメンバーが次々に脱退。そしてついにこの度、作戦参謀キキョウの判断で解散令が出されるはこびとなったのである。

どうしても百花繚乱での日々を諦めきれない勘解由小路ユカリは、ナグサの生存を聞き付け彼女に「継承戦」を申し込むこととした。勘解由小路ユカリがナグサに継承戦で勝利すれば、委員長代理の座は彼女のものだ。そうなれば、バラバラになった百花繚乱をいまいちど立て直すことも可能である……!!

そんなことをお風呂でキラッ!とひらめいたらしい勘解由小路ユカリ。かわいい。キラッ!とひらめいたのです!って言い回しがかわいい。お風呂で考えてるのも、それ言っちゃうのも含めてかわいい。

「大事なのは、未来!ふゅ~ちゃ~、です!」「全ては、この超天才えりーとのユカリが委員長になれば解決ですの!」とのこと。素敵。自分で何かを変えたいと思って……何ができるか考えて……考えたものを、実際に行動に移せるところがほんとに素敵だと思う。すき。勘解由小路ユカリのように生きたい。

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ちなみにここで物語の骨子となる「主人公の目的」が明かされたわけだけど、ブルアカのメインストーリーは「マイナスをゼロに戻す」もしくは「マイナスを回避する」ことを目的としてスタートすることが多いように思う。

・対策委員会編:借金を完済し、学校を元に戻す。
パヴァーヌ編:廃部を回避する。
・エデン条約編:落第を回避する。
・カルバノグ編:廃校となったSRTを復活させる。

といった具合に!で最終的に成長や絆といった、ちょっとばかりのプラスとともに結びを迎えるから、「いいもの読んだなあ……」って気持ちになれる。

今回は、「バラバラになった百花繚乱を元に戻す(百花繚乱での日々を取り戻す)」というマイナス→ゼロのパターンだね。
こうした「不足を満たすor回避する」という主人公の動機は、ブルアカ以外にもいろんな作品で見られるものだと思う。

今回はこの「マイナス→ゼロ」に複数の意味が乗っかっていて、そこが面白い!

勘解由小路ユカリが「マイナス」の現状を受け入れられないのは、彼女が百花繚乱を愛していたから__であり、そして同時に、彼女が「勘解由小路家のユカリ」に戻らなければならなくなるからだ。

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勘解由小路家の責務に縛られ、囚われていた「勘解由小路家のユカリ」を解放してくれたのは百花繚乱だった。ユカリは百花繚乱に憧れ、「百花繚乱のユカリ」となることで、その血の運命(さだめ)を忘れることができたのだ。

では、百花繚乱がなくなれば?必然として、ユカリは屋敷に戻ることを__「勘解由小路家のユカリ」に戻ることを余儀なくされる。ユカリが継承戦を望むのは、百花繚乱のためであり……そして、「百花繚乱のユカリ」を演じ続けるためであった。

「百花繚乱のユカリ」に固執する彼女は、「勘解由小路家のユカリ」としての自分を隠しながら、先生と一緒に先輩さがしの旅へと乗り出す。

ちなみにここでユカリが百花繚乱に憧れるに至った経緯が描かれ……勘解由小路ユカリ(中学生)!!!!?

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うわ……こんな丁寧なゲームがありますか?すごくない??かわい!!!!!意味わからんかわいさ。

 

モブ・ワールドオーダー

さてはてレンゲ先輩さがしを始めたユカリと先生は、彼女が「青春」を求めて色んな部活に体験入部を繰り返していることを知

は!!!????????

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急に集中できないレベルのかわいいモブをお出しされてびっく

あああああああああ!!!!!!!?

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怒涛の新モブ3連ラッシュ。かわいいが押し寄せてくる!!!!

おかしいよ……ブルーアーカイブ……どれだけかわいいを供給するつもりなんだ……。私をスクショから解放してくれ。

なに??なんなんだろうね。これ無料で摂取できるのおかしいでしょ……ブルアカは世界平和とか目指してるの??

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ピンクいっぱいでスーパーがーりー!
頭部だけまずメカクレ&ハーフツイン&ネコミミという情報量の多さ。

和服とセーラーの融合は最高の高で、萌え袖ぎみなのがまたニクい。なぜか胸当てがなくて、鎖骨がのぞいているあたりもフェチズムの仕込みを感じる。

リボンがデカいのもめっちゃらぶ。モブちゃんがちんまい系なのもあり、このあたりにはデフォルメ的なセンスが感じられる。

あとおくち。おくちがキュート。ミッフィーぐちになるのズルすぎ。あざとすぎ。

かわいい属性をたっぷり詰め込んでて、だけど胸やけしないのは、彼女が「モブ」だからだと思う。「モブ」という立ち位置が存在の主張をやわらげ、デザイン全体に調和をもたらしてくれているのだ。

ネームドキャラであれば、情報過多で目立ちまくってしまうこと間違いなしだ。つまりこれは、「モブちゃんだからこそ」のデザインだといえるのではないだろうか?こうしたバランス感覚がブルーアーカイブは本当にうまい気がしていて、イラストレーターの先生方には感謝とリスペクトしかない……!!

というかクロレラ観察部フィットネス落語部ってなに??

なに??なんだけど……そういえばカホが絆ストーリーで言ってたよね。百鬼夜行は各々が好きを追求できる場所で、そんな色とりどりが美しいんだって。だからこそのクロレラ観察部や、フィットネス落語部なんだろ~な……。

そういう百鬼夜行の在り方……個々人が好きなものを、好きのままに追い求めることができちゃう世界は、なんか……泣けそうなほど素敵だと思う。だからこそユカリの抱える「」というしがらみがいっそう際立つことになるんだけど……。

 

戻らぬ過去と巫女の夢

とそんなモブちゃんズラッシュを乗り越えた先、ユカリと先生は修行部に体験入部中のレンゲと出会う。

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「学生時代はあっという間に過ぎていくから気をつけろ__っていうし」

”(誰かに言われたのかな……)”

そういえばこのやり取り、初見時はスルーしてたけど伏線になってたんだね……。

さて、ユカリの期待とは裏腹にレンゲは彼女の頼みをすげなく断る。これ以上、戻ってこないアヤメを待ち続けて苦しむ必要はないのだと。過去は過去と諦め、すっぱり切り捨てるべきなのだと__。

レンゲに力でも負かされてしまったユカリは、さすがに凹みかける……が、「えいっ!」と自分の頬を叩いて再起する!はあーーーっ……すき…………。なんてまっすぐで、強い子なんだろう。本当にかっこいいよ……。

 

そして翌日、先生とユカリはキキョウのもとを訪ねることに。「アイスは一日一個まで」とか「毎日歯磨きチェックするからね」とか甲斐甲斐しくユカリの世話を焼いていたらしいキキョウ。なにそれ???かわい。

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だけどそんな微笑ましすぎる回想から一転、実際に対面したキキョウはめちゃめちゃ冷たい言葉を吐きかけてくる!あんたにとって百花繚乱はお遊びなんだから、お嬢様のお遊びに付き合うのはもううんざり、百花繚乱ごっこはもう終わった……etc。言いすぎ!
結局それは、キキョウがユカリを想うからこそついた嘘だったんだけど……その嘘はキキョウ自身も苦しめることになる。

先輩たちから「あの日々は夢に過ぎなかったんだ」と言われまくったユカリは、シズコの頼みに応じて巫女の役目を引き受ける。「勘解由小路家のユカリ」としてのペルソナを受け入れ、それに身を捧げようとしたのだ。

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うわああああ巫女服差分!!!!!

おかしいよ……前編のときにたしかに「もしかしてあるんじゃない?」「あったらいいな……」って思ったけど……ほんとに見れるなんて!!!期待させて、その期待をしっかり裏切らないのがブルアカクオリティ!!うう……すき……。

 

粋(いき)Relations!

ユカリの心身を案じる先生は、ある意味で全ての原因であるナグサと話をつけることに。証を返却した理由について、ナグサは「自分はアヤメじゃないから」「自分にはその資格がないから」「委員長代理の肩書はただ押し付けられただけだから」などと語るが、そこでどこからともなく<ウソ>という声が響く。

そしてお祭り開始の花火が上がるとともに、黒い傘の化け物が溢れ出す__!!!この急展開がたまらない!!!

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<ウソ>や「私はアヤメじゃないから(■■■■■■、■■■■■■■■■■)」といいったこれまでにない表現手段が面白く、それがこの「転」をほのめかす違和感にも繋がっている。なんかおかしくない??がじわじわと染み出してきて、ついにそれが形となってドバっと溢れ出すもんだから、めっちゃ興奮しちゃう。たのしい。

ここでのミチルの反応がいかにもミチル!!しててとてもよい。

(ここは逃げるべき!?)

(でも、まだ会場に人が残ってるのに……)

(でもでも、イズナとツクヨまで危険にさらすわけには……)

ミチルだなあ~~!!
身の危険を感じ取りながらも、他の人を放っておくことができないとことか……そのうえで、後輩たちのことを何より案じてるとことか!!「後輩が大事、後輩を守りたい」って想いがミチルの根幹にあるんだね。

そんなミチルの背中をイズナとツクヨが後押しするのが、また忍術研究部らしい。二人はミチルのことを信頼し、尊敬していて、だからまっすぐに彼女の決断を助けることができる。二人がいるからこそミチルは迷い、二人がいるからこそミチルは決断ができるのだ。忍術研究部の関係性、いいよね……!!

 

いっぽう陰陽部では、ニヤがめっちゃ珍しい姿を見せていた。

「どこで何を見落とした……?私の思い至らなかった要素……何か別の手掛かりが……?」

「私の知らない……得られなかった情報を集めなければ……一体どこで何を見落としたのか把握しないと__」

いつものにゃはは口調はどこへやら、余裕を失い思考をぐるぐると巡らせるニヤ。
ニヤの本質的な……クレバーな部分が露わになっているような気がして、普段とのギャップもありかなりドキッとした!ニヤの初めて見る側面だった。

人は知れば知るほど好きになってしまうもので……シチュエーションからして不適切な言い方にはなるけれど、この描写によって天地ニヤというキャラクターの味わいが幾重にも増したように思う。
そんなニヤに冷静さを取り戻させるのがチセちゃんデコピンなのも良い……。

 

さらにはいっぽう修行部サイド。

「ツバキちゃんと私は幼馴染ですから……これまでに色んなことがあったんですよ?」

「……本気で怒った時のミモリは怖いよ」

ああああ関係性~~~!!!!!

ツバキとミモリさんの過去エピめっちゃ気になる……!!!ミモリさんが意外とお転婆or男勝りだったりするやつなんでしょ!!?ねえ!!そういうなんか……あるんでしょ!!みせて!!!
というかレンゲ&キキョウもナグサ&アヤメも幼馴染じゃん。百鬼夜行って幼馴染の産地なのかもしんないね。ちなみに他学園にはアルちゃん&ムツキとかミカナギとかシグノドとかいる。

ツバキはここでレンゲの中にある百花繚乱への想いを見抜き、部長として彼女の体験入部を強制終了させる。粋(いき)~~~!!!!
ツバキにはあらゆる先生がお世話になっていると思う。かくいう私もその一人で、ユウカが愛用品をGETするまでずっと彼女にタンク役を引き受けてもらっていた。初期からの、おおよそ2年半以上の付き合いがある生徒なのだから、愛着も当然ひとしおだ。
そんなツバキがメインストーリーでこんなに粋!!な活躍をしてみせるのだから、なんだかとっても嬉しかった!!

 

箭吹シュロという”悪役”

百鬼夜行に「猫鬼クロカゲ」が顕現し、火の手が広がっていくなか……対処法を知っているらしいナグサは、どこか煮え切らない、濁すような喋り方を続ける。
そこに現れるのが……前編でめちゃくちゃなクリフハンガーを担った手前ちゃん!!こと花鳥風月部の怪談家箭吹(やぶき)シュロだ!!

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えっ表情差分ありすぎ……!!?かわい……。
表情ゆたかなひとを好きになってしまう法則、ありますよね。敵であってもその法則は働いて、エデン条約編2章のミカなんてその代表的例です。

あと勘解由小路ユカリもそうなんですが、特徴的な一人称によるキャラ付けってめっちゃいいですよね。安易と言われようとも私にとってはバチクソです。

あとあとシュロちゃんは幼げな見た目をしているのですが、かなり思考も自我もはっきりとしていて、小難しい言い回しも得意とします。なぜなら「語り手」だから!そういうギャップがまた最高。口がとにかく回るので、相手を煽ったり、傷を抉るような喋りがまためっぽう得意で、その容赦のないワルっぷりがまた刺さってきます。

かわいい見た目をしていながら、骨の髄までスーパー悪役!!!この両立にこそ、シュロちゃん特有の魅力が宿っているんだと思う。
めちゃ多い表情差分については、ミカのようにのちのち主役級のエピソードをが与えられる前触れなのか、ヘイトコントロールの一環なのかは分からないけれど……少なくとも後者としての役割は果たしすぎるほど果たしている気がする。読み終わってなおこんなに好きだもん。

「アヤメアヤメアヤメ……!アヤメの名前で言い訳ば~っかり。本当にもう__」

<ウソ>

<そんな風に考えたことなんてないくせに>

そんなシュロちゃんは、怪書・稲生物怪録(いのうもののけろく)の力によってナグサの本心を暴露する。
ナグサはアヤメの隣にいたいという一心から自分を取り繕い、優等生の自分を演じていた。しかしアヤメが消え、次の委員長に自分が選ばれることとなってしまう。そうなれば、本当の自分が__アヤメになんて遠く及ぶはずもない、何の取り柄も無い自分がバレてしまう。それを恐れたナグサは委員長の証・百蓮を返却し、百花繚乱から逃げたのであった。

 

20年前の燈籠祭で、勘解由小路の巫女は舞を放棄しいずこかへと姿を晦ましてしまった。その汚点を濯ぎ、一族の名誉を取り戻すことこそが、自分に求められていた役割だったのだ……。家の者たちがしきりに戻ってきて欲しいと言っていたのも、所詮はこのためだったのか。傷心のユカリに悪魔めいて囁きかけるのが、怪談家シュロだ。シュロは言葉をもって彼女の傷を自覚させ、ざくざくと掘り起こし、その絶望と憎悪を煽っていく。

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ああ、ああ!なんてお可哀想な手前さん……

苦しいのでしょ?悔しいのでしょ?

手前さんのその感情__そのままそ~っくり返してやりたい__そうは思いませんかぁ?

他人は、私の気持ちも声も願いさえも、踏みにじっていくだけ。

正しい選択をしなさい、と自分の願いと欲を押しつけるだけ。

だから__苦しかったのでしょ?疲れてしまったのでしょ?

だから……ぜ~んぶ、投げ出してしまいたかったのでしょ?

自分の意見には耳も傾けず、取り合ってもくれない彼女らに__そんな言葉を浴びせる者に向かって__

__全部燃えてしまえばいい

と……思ったのでしょ?

このユカリに寄り添うような語り口調がまたなんとも巧みで、どこか甘い味すらも感じさせる。シュロの言葉には、魔力が宿っている。
彼女はひとの曖昧な感情を言語化する力を持っている。言語化とはすなわち、定義づけだ。曖昧なままであれば「そう」と分からなかったものに、具体的な言葉を、定義を与えてやることで「そう」だと認識させる。言葉にはそうした魔力があり、シュロはそれを巧みに操ってみせるのだ。

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かくして__言葉の力によって各人を誘導し、ユカリを絶望の淵に叩き込んだシュロは彼女の感情から無貌の形代を作り出す。これによって百鬼夜行炎上は成され、シュロの「百物語」は完成する__そのはずだった。

 

君はウィリアム・シェイクスピアを知っているか

「役者がそろいましたね」

「始めましょうか……手前どもだけの風流(かいだん)を」

「物語の幕は切って落とされたのです。手前の望む”舞台”と”役者”は揃いました」

「手前さん方の尽力によって__物語の主役が誕生したのですから」

シュロの登場により、この物語にはいつしか「舞台」というテーマが現れていた。それは彼女が、言葉によってこの物語を「舞台」と定義したからだ。ユカリを助けるため、演舞の「舞台」へと歩み出すナグサの姿は示唆的である。

ナグサは、百花繚乱としての自分を演じていた。アヤメと並び立ちたいがために、仮初の自分を身に纏い、弱い自分をひた隠していた。シュロはそんなナグサの弱みを執拗に攻撃し、アヤメを助けられなかったトラウマをも引き摺り出して、その心を手折ろうとする。しかし先生は__

「偽りの自分を演じて……」

「偽りの自分が受け入れられることの、何が悪いのかな」

「偽りだとしても、それを演じ続けていれば、いつしかそれは本当になる」

「誰だって……自分を繕うものだよ」

「誰もがやる、普通のこと」

先生は「演技」を肯定する。嘘をついて、いい顔をして。その結果、衝突してしまうことになったとしても……それも含めて、すべてが「普通のこと」なのだと。

誰もが嘘をついていた。ナグサも、レンゲも、キキョウも、ユカリも。

みんなが嘘をついていた。

そして今日も、誰かが嘘をついている。嘘をついて、今日という一日を生きている。明日も、そして明後日も。

素顔を晒して生きている人は稀だ。

仕事ができる風なあの人だって、家ではぐーたら丸出しな生活を送っているかもしれない。人当たりのいいあの人だって、本当は話すのが得意じゃないかもしれない。
それでも人は、精一杯に演じている。「こうありたい自分」を演じている。

その嘘はきっと、尊いものなのだ。「こうありたい」を目指して、そう振る舞って、どうして悪いことがあるだろうか。

理想と現実の乖離に苦しむ人は多い。どうして自分はこうなのだろうとか、今の自分を好きになれず、悩んでいる人は本当にたくさんいる。理想は追い求めるから理想なのであって、一朝一夕でそのギャップが埋められるはずもない。だから演じるのだ。
少しでも、理想の自分に近づくために。好きな自分になるために。

そうして「嘘」は、真実になっていくのだ。

よっぽど自分に自信があるとかでもない限りは、ずっと一定の自分でいることなんてまず不可能だ。相対する人やシチュエーションに応じ、「見せたい自分」や「在りたい自分」のかたちというものは変化する。
私だって親を相手にすれば勉強してるそぶりを見せてみるし、同級生とか友達相手には人付き合いの良いかんじ出してみるし、職場の上司に対しては仕事できますよ~ってかんじを出してみる。その場その場で、適した表情や言動を……意識的にしろ、無意識的にしろ使い分けているのだ。

けっきょくその根底には人から信頼を得たいとか、好きになってもらいたいとか、そうした利己的な心の動きがあるんだと思う。でも、その「演技」で今日だれかと話せて、仲良くできて、頼ってもらえたのなら。それは意味のある嘘なのだと思う。

そしてこれは、みんなが大なり小なりやっている……至極当たり前のことだ。生きるために嘘をつく。自分のため、ひとのため……理由は様々だけど。ありのままで完璧な人なんていなくて、だから皆が繕い演じてる。

この世は舞台、人はみな役者なのだ。

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「私にできるのはせいぜい”演技”だけ。今もなんとかここに立って、偽りの自分を演じてる」

「でも、こんな私でも、みんなを助けられるのなら……」

「どれだけ滑稽に映ろうとも、演じ続けてみせる」

百花繚乱の委員長代理__御稜ナグサという役を……ずっと!

だからナグサは「ナグサ」を演じ続けるのだ。利己的な目的から始まった嘘は、いつしか誰かにとって意味のある「本当」となっていた。
アヤメにふさわしい自分__”こうありたい”自分を演じているうちに、彼女は”こうありたい”へと近づいていった。だからこそ、彼女は後輩たちに慕われる存在となったのだ。

嘘に罪悪感を覚えるのは当たり前だ。嘘をついて、心をまったく痛めない人はそういない。だからナグサはこれからも己の嘘に苦しむのだろう。
それでも、その嘘を「本当」と信じ受け入れてくれるひとがいて、その「本当」に応えたいと思ったから……応えられる自分でいたいと思ったから、ナグサは演じ続けることを選んだのだ。

痛みと恐怖に震え、涙に塗れても……嘘が嘘と分かってなお……演じ続ける限り、その「本当」はまた輝き続ける。

積み重なったうわさが怪談となるように、積み重なった嘘は真実へと転じる。長い時間をかけて真実へと昇華した嘘は、そう易々と元のかたちに逆戻りすることはない。
そう思えば、幻魎百物語を倒せるのがナグサだけという関係性も、なにか因果なものを感じる。ナグサの内には、百物語に比肩するほどの積み重ねがあるからだ。

ナグサは「御稜ナグサ」という役を演じ育て、その役は人々に愛されるものとなった。愛されるほど素晴らしい役を作ったのなら、その役者もまた讃えられ……愛されるものだ!役者が無個性だからってなんだ!その研鑽が、舞台上での輝きが色褪せることは決してない。演じる役者の心映えがどうしたって美しく、愛おしく……そして狂おしいほどに役をきらめかせるのだから!!

「たとえそれが演技だったとしても……」

「百花繚乱の私として、みんなと向き合いたいと思ったから」

とにかくだめだった。ほんとに泣きに泣きまくった。ナグサの心の在り方が、本当に尊くて、人間らしすぎて、平凡で、だからこそカッコ良くて、情緒がめちゃくちゃにされてしまった。

最終編に出てきたときから、1章前編までずっと……どこか謎めいて掴みづらいところがあったナグサ。その心中が明かされてみれば、こんなにも「ただの女の子」で……!!

そんなあふりれた悩みを抱え苦しむ「ただの女の子」が、痛みを抱えたまま__誰かのために歩み出す姿が、本当に、本当にかっこいいのです。そういうとこだよ!!そういう心根が……委員長代理なんだよ……!!!

ナグサの苦悩は、程度の差こそあれど多くの人が理解できるものだと思う。この世が舞台であり、私たちがその役者である以上、演じることからは逃れられない。だからこそ……ありふれた悩みだからこそ、それを背負って立ち上がるナグサに意味がわからないほど心打たれるのです。

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先生の言葉を受けて目を覚ましたユカリ(ここでもめっちゃ泣いた)にカタシロを破壊され、再起したナグサたちに追い詰められていよいよ後が無くなったシュロちゃんはウウーッと悔しげに撤退していく。

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ここでいのうもののけろく破いたっぽいけどもう使えないのかな?ナグサは「いのうもののけろく使って黄昏から怪物を呼び出すのが花鳥風月部~~」みたいなこと言ってたし、別に一冊きりじゃないのかもしれない。

 

そんなわけで一件落着!したんだけど、ユカリはここでナグサに継承戦を申し込みます。なんで今!?ってみんな驚く。そりゃそう。ナグサも百花繚乱に帰ってくる感じだし、ふつうに考えたらやる必要ぜんぜんないもんね。けど……なんかこういうのいいなって思った……。

こういう儀式としての戦いってすき。スクライドってアニメの最終回と似た良さをかんじる。理屈とかじゃなくて、必要な過程なんだよね。
そして案の定ユカリは負けて、やっぱりナグサは憧れの先輩なんだって清々しく笑う。めっちゃ良い。で、そこからの

「えへへ……それでは、皆様!早く戻りましょう!」

「百花繚乱に……」

「身共たちの、家に__!」

ひいん……。こういうオチにほんとよわい。「家に帰ろう」ってオチいいよね……。

ひと段落して、ほっこりして、このほっこりを手にするまでにあった色々がいっきに脳裏を通り過ぎていって、今までの感情がいっきにドバっと押し寄せてきて……やっぱり泣いちゃう。このオチでブルアカに何回も泣かされててズルい。対策委員会編とか最終編とかオ”ア”アーーってなってた。

 

踏み出すことば

そして燈籠祭はふたたび開かれる。

ユカリはきっぱり「巫女はもうやめてやる」と宣言してきたらしくて、使用人たちにも分かってもらえたらしい。そして百花繚乱の4人は、思いを込めて燈籠を送り出す。

互いの胸に秘めたもの、未来を描きながら……願いを込めた燈籠が流れていく。

いつまでも、ずっと__。

おああ……。ユカリが笑っててよかった……みんなが笑って……みんなで笑えるようになってほんとによかった……!!

マイナスをゼロにしようとして、最終的にちょっとばかりのプラスを得るのが物語の定石だった。
今回でいえば、百花繚乱が元に戻るだけじゃなくて、ユカリやナグサは自分の「演技」を受け入れることができた!その僅かなプラスが、ほんとにかけがえなく尊いものなんだよね……。

前編よんだときは「もしかして今回のテーマって過去と未来なんじゃない?」とか思ってた。カルバノグ2章も昨日と明日みたいな部分が描かれてたし、第二部(最終編以降のメインストーリー)はそこらへん通底させていくのかな、とか。それで過去おじさんに繋げていくんじゃない?とか考えてた。

でもそこからいっきに「舞台と役者」の話になるんだからすごい。そのための燈籠祭とか巫女の舞だったの!?ってふるえた。

と思ったら最終的には「壊れたものは直せばいい」「立ち止まったとしてもまた歩み出せばいい」って過去と未来の話に着地する。色んなテーマやメッセージを盛り込みながら、めぐりめぐって始まりに戻ってくる構成がとにかく綺麗で……ブルアカ……あいしています。

ブルアカの伝えてくれるメッセージはどれもあたたかく、やさしく背中を押してくれるかんじがある。

重いことや辛いことを抱えているなら、周りの人に頼っていい。それを分け合っていい。

出自がどうであろうと、なりたい自分になっていい。

どんなに虚しい世界でも、諦めなくていい。自分の好きを貫いていい。

間違えてしまっても、やり直していい。それで未来が閉ざされることなんてないのだから。

環境や責任が縛りつけようとしてきても、自分の信念を曲げる必要はない。

自分の生を、悔やんだり責める必要はない。幸せになりたいと願う気持ちを、否定しなくていい。

そんなブルアカの言葉に、なんど勇気をもらったことだろう。ブルアカは物語を通じ、私たちに前へとふみだす力を与えてくれる。

人間の生を尊重し、応援するその姿勢が本当に素敵で……だから私はブルーアーカイブから離れられない!!誰かの生きるちからを後押しできるエンターテインメントって最高です。

生きてればいろんなことがあって、ぜんぶがうまくいくわけじゃないし、心くじけそうになるときだってあるけど、ブルーアーカイブのおかげでそれでも捨てたもんじゃないって思えるのです。ユカリみたいにえいっ!と頬を叩いて、また前を向いて歩き出せるのです。

 

毎度のことながら。

感情動かす素敵なシナリオを書いてくださる方々。

シナリオをますます高める最高の音楽を作ってくださる方々。

かわいいやかっこいいに溢れたイラストを描いてくださる方々。

それを私たちに届けてくれる、あらゆる関係者の方々。

ブルーアーカイブに携わるすべての方々へ……

かんしゃあ~~~!!!!!

 

幕切れ

すごいよかった。興奮しすぎてテンションばぐり散らかしてるけど許してください。こういう嬉しいきもちを言葉にして残しときたい。シュロちゃんがやってたのとおんなじで、言葉にはパワーがあるから、かたちにしときたいのです。

あと言えてなかったけどシズコめっちゃよかった。めっちゃ良い子だしつよい子。根っこの部分に「ひとの笑顔が見たい」って気持ちがあって、そのために自分からいろいろ動けるのがほんとに素敵で……河和シズコになりたい……。勘解由小路ユカリにもなりたい……。こうなりたい!って子といっぱい出会えるブルアカ、最高です。

そういえばクズノハ様でてこなかったね?2章で会えるのかな……はやく会いたい……。つぎのメイン更新に今から期待がたかまりまくり!!たぶんまた感想とかあげます。というか、あげることになります。わかる。

それではまたお会いしましょう。

私たちの__すべての愛がある場所で!!

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